【第16回】アプリ翻訳のポイント:アプリ独特の言語表現(1)命令表現

※本連載は、弊社刊『アプリ翻訳実践入門』の一部をコンパクトに再編集したものです。

キーワード:命令表現

どの分野にも特徴的に用いられる言語表現があります。何回かに分けてアプリ独特の言語表現を紹介します。

頻出する命令表現

アプリは、人間がコンピューターに情報処理をさせる目的で使います。そのためアプリに指示を出すための命令文が多く見られます。

たとえばメニューでよく見かける「Open」(開く)も「Save As」(名前を付けて保存)も、人間からアプリに対する命令です。

逆に、アプリから人間に指示が出されることもあります。たとえば「Click this button to download.」というメッセージは、アプリから人間への操作指示です。このような操作指示も非常に多く出現します。

英日翻訳する際の表現

操作指示を英日翻訳するときは、命令口調ではなく「〜します」と表現することが普通です。

つまり以下の訳例1ではなく、訳例2です。

【原文】Click this button to download.
【訳例1】ダウンロードするには、このボタンをクリックせよ。
【訳例2】ダウンロードするには、このボタンをクリックします

日英翻訳する際の注意点

アプリから人間への操作指示を日本語で書くとき、「〜してください」と丁寧な表現をします。これを英訳するときは「Please」を付けてしまいがちです。しかしこういった操作指示でPleaseは不要です。

つまり以下の訳例2のように、Pleaseなしの命令文で問題ありません。

【原文】編集前にファイルを保存してください。
【訳例1】Please save the file before you edit it.
【訳例2】Save the file before you edit it.

まとめ

  • アプリでは命令文が多く見られる。
  • 英日翻訳する際は「〜します」という表現が普通。
  • 日英翻訳する際はPleaseなしの命令文で問題ない。

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