【第4回】翻訳ビジネスのモデル

※本連載は、弊社刊『アプリ翻訳実践入門』の一部をコンパクトに再編集したものです。

 

キーワード:翻訳会社アウトソーシング、翻訳者アウトソーシング、クラウドソーシング、内製

代表的なモデルは4つ

ビジネス的な側面から見ると、翻訳ステップ(第3回参照)には4つのモデルがあります。翻訳依頼者から見たメリットとデメリットも併せて説明します。

A. 翻訳会社アウトソーシング・モデル

翻訳を社外の翻訳会社に依頼するモデルで、現在の主流と言えます。フローを図Aに示します。

アプリ翻訳では90年代からアウトソーシングが増え、翻訳を含めたローカリゼーションを専門的に請け負う企業が登場してきたとされます*1。当時のいわゆるウォーターフォール型の開発に適した方法だと考えられます。

翻訳会社に依頼するため、最適な翻訳者を選んでもらえる、一定以上の品質を確保できるといったメリットがある一方、コストがやや高くなるというデメリットもあります。

図A(『アプリ翻訳実践入門』p. 37より転載)

B. 翻訳者アウトソーシング・モデル

翻訳会社を介さずにフリーランス翻訳者にアウトソーシングするモデルです。図Bです。

意思疎通が容易といったメリットがある半面、大量の翻訳に対応できないなどのデメリットもあります。

図B(『アプリ翻訳実践入門』p. 38より転載)

C. クラウドソーシング・モデル

不特定多数の人に仕事を依頼するモデルで、「翻訳者アウトソーシング」の一形態とも言えます。2000年代後半から登場した比較的新しいモデルです。フローは図Cのようになります。

翻訳会社に依頼するよりも安価といったメリットはありますが、翻訳会社が実施するような品質作業が含まれないこともあります。

図C(『アプリ翻訳実践入門』p. 39より転載)

D. 内製モデル

自社内で翻訳をするモデルです。図Dのようなシンプルなフローになります。

翻訳担当者と意思疎通が容易になるためアジャイル型開発で有利になる一方、固定の人件費がかかるといったデメリットもあります。

図D(『アプリ翻訳実践入門』p. 40より転載)

 

まとめ

  • 翻訳ビジネスのモデルには、「翻訳会社アウトソーシング」、「翻訳者アウトソーシング」、「クラウドソーシング」、「内製」という4つがあります。それぞれメリットとデメリットがあります。
  • 現在の主流は翻訳会社アウトソーシング・モデルです。

1:Esselink, B. (2000). A Practical Guide to Localization. John Benjamins Publishing.


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