【第8回】不可能(3)と黒羽/雲巌寺

ITエンジニアが芭蕉と学ぶ英語構文

著者:西野 竜太郎(@nishinos

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登場人物

芭蕉

江戸時代の俳諧師。「おくのほそ道」の旅で、東北と北陸を巡って俳句を詠む。

曽良

芭蕉の弟子。「おくのほそ道」で芭蕉に随行する。

ワタシ

21世紀の英語翻訳者。「おくのほそ道」で芭蕉に同行してIT英語を教える。

これまでのあらすじ

21世紀への時間旅行を企てる松尾芭蕉は、旅行中の費用をプログラマーとして働きながら工面しようとする。しかし「プログラマー35歳定年説」を知ると断念し、代わりに年齢に関係ない英語スキルを「おくのほそ道」の道中で学ぶことにする。

芭蕉は出発前に住居を他人に譲り、旅立つ。江戸から北に向かい、日光東照宮を参詣し、那須を抜けて旅を続けている。

不可能(3)と黒羽/雲巌寺

現在の栃木県大田原市(旧・黒羽町)の知人を訪ねる。その後、平家物語に登場する弓の名手「 那須与一なすのよいち」にゆかりのある那須神社を訪問した。

那須与一は、屋島の合戦で船上の扇を射るとき、「願わくば、あの扇の真ん中を射させたまえ」と、この神社の神に念じたようですね。

よし、ワシもやってみよう。お主、そこに扇を掲げて立ってみなされ。

ワタシ

弓矢の心得があるのですか!?

心配なさるな。ワシがやるのではない。今からアーチャー・クラスのサーヴァントを召喚してだな……。

そ、そんなことが!

できる、わけなかろう。ガハハハハ。

ワタシ

では、英語の勉強に入りましょう。

今回も「不可能」の表現です。「not … until」を使った構文になります。最初にサンプル英文を確認します。

This operation will not complete until the Finish button is clicked.

「Finish」ボタンがクリックされるまで、この操作は完了しません。

You cannot access the Internet until you set up a user account.

ユーザー・アカウントを設定しないと、インターネットにアクセスできません。

これを構文の形にしてみます。

<今回の構文>

[人/物1] not [動詞1] until [人/物2] [動詞2].

[人/物2] が [動詞2] するまで、 [人/物1] は [動詞1] しません。

untilは「〜までずっと」なので、何かをするまでずっとできない状態が続くという意味なんですね。

ワタシ

はい。そこから2つめの英文サンプルのように「〜しないと、〜しない」という解釈になるわけです。

では、試しにその構文で作文してみよう。

Titans will not die until a soldier cuts the back part of their neck.

巨人の首の後ろを兵士が切らないと、巨人は死にません。

これでよろしいか?

ワタシ

はい、結構です。

(どういう意味……?)

◆  ◆  ◆

芭蕉は黒羽滞在中、修験道の光明寺こうみょうじも訪れ、一句を残した。

夏山に 足駄あしだを拝む 首途かどでかな

(これから夏山を越える。修験道の山伏が履く高下駄を拝んで健脚を願って、門出としたい)

さらに、江戸で知っていた仏頂ぶっちょう和尚が暮らしていた雲巌寺うんがんじに向かった。

木啄きつつきも いおはやぶらず 夏木立なつこだち

(寺を突き壊すというキツツキも、木立の中にある和尚の庵は壊さなかったようだ)

…… 次回に続く

今回の地図

那須野(地図は現在の西那須野駅)から、那須神社と光明寺を経て、雲巌寺へ。