※本連載は、弊社刊『アプリ翻訳実践入門』の一部をコンパクトに再編集したものです。
キーワード:グローバリゼーション、ローカリゼーション、インターナショナリゼーション
翻訳はどこに位置づけられる?
アプリ翻訳は「グローバリゼーション」の一部として実施されます。図Aで確認します。
図A(『アプリ翻訳実践入門』p. 13より転載)
ローカリゼーションとは
図Aを見ると、アプリ翻訳は「ローカリゼーション」(L10N)の一部でもあることがわかります。
ローカリゼーションとは、「特定の言語、地域、文化に合うよう製品を特殊化すること」だと言えます。たとえば、もともと英語で作られたアプリを、日本に住む日本語ユーザーに向けて特殊化して作り変えることです。
UI(ボタンやメニュー項目など)やメッセージ(エラー・メッセージなど)のテキストを翻訳することが、ローカリゼーションでメインの作業となります。そのため翻訳者の出番になります。
しかしローカリゼーションの対象になるのはテキストだけでなく、画像、ビデオ、文化的要素(氏名や住所の形式、度量衡など)、さらには機能(会計ソフトの税率など)なども含まれます。
インターナショナリゼーションとは
図Aを見ると、グローバリゼーションには「インターナショナリゼーション」(I18N)も含まれています。
インターナショナリゼーションは、「特定の言語、地域、文化に依存しない形に製品を汎用化すること」です。たとえば日付は、日本語では「2018年1月21日」、アメリカ英語では「January 21, 2018」(月日年の順)、イギリス英語では「21 January 2017」(日月年の順)と表記します。しかしアプリ内部では、各地域(「ロケール」と呼ぶ)ごとではなく、汎用的な形式で処理したほうが面倒が少なくて楽です。
このように、特定のロケールに依存しない形にアプリをプログラミングして作っておくことがインターナショナリゼーションの作業になります。基本的にはプログラマーが担当するので、翻訳者が関わることはありませんが、何をするのかくらいは知っておくことが望ましいでしょう。
インターナショナリゼーションは土台、ローカリゼーションは家
インターナショナリゼーションは主にプログラマー、ローカリゼーションは主に翻訳者が関わります。
グローバルなアプリを作るには、この両方が必要です。いわば、インターナショナリゼーションで共通の「土台」を作り、ローカリゼーションで各ロケールの「家」を作るイメージです。この2つをまとめて「グローバリゼーション」と呼びます。図Bに示すとおりです。
図B(『アプリ翻訳実践入門』p. 21より転載)
まとめ
- アプリ翻訳は、ローカリゼーションの一部であり、そのローカリゼーションはグローバリゼーションという大きな枠のなかで実施されます。
- グローバリゼーションには、ローカリゼーションとインターナショナリゼーションが含まれます。
- ローカリゼーションは主に翻訳者が関わり、土台の上に建てる各国語の「家」のイメージです。
- インターナショナリゼーションは主にプログラマーが関わり、各国語の家を建てる共通の「土台」のイメージです。
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