【第14回】アプリ翻訳のポイント:ドキュメント・タイプ

※本連載は、弊社刊『アプリ翻訳実践入門』の一部をコンパクトに再編集したものです。

 

キーワード:UI、メッセージ、ヘルプ/マニュアル

アプリ翻訳のドキュメント・タイプ

アプリ翻訳では、UI、ヘルプ/マニュアル、使用許諾契約、製品紹介などさまざまなドキュメントを扱います。今回はそのうちUIとヘルプ/マニュアルの特徴を紹介します。

UI

UI は「ラベル」と「メッセージ」に大別できます。

a. ラベル

ラベルはボタン名やメニュー項目などのテキストです。

例として、図AにWindows 10のフォルダー設定画面を挙げます。下部にある「OK」や「Cancel」といったボタン、さらに上部チェックボックスにある「Show recently used files in Quick access」といったテキストがUIラベルです。

図A(『アプリ翻訳実践入門』p. 111より転載)

UIラベルの言語的な特徴として、テキストが短いという点がまず挙げられます。図Aに示すように、英語では1〜数語程度がほとんどです。

さらに英語では「省略」が頻繁に発生します。図Aの最上部にあるチェックボックスのテキストは「Show recently used files in Quick access」とありますが、主語が省略されています。

b. メッセージ

ユーザーに表示されるメッセージのテキストです。

図BはWindows のメモ帳アプリを閉じるときに表示される画面です。この「Do you want to save changes to Untitled?」がメッセージの一例です。

図B(『アプリ翻訳実践入門』p. 111より転載)

メッセージはUI ラベルより概して長く、文の形を取っているケースが多いと言えます。ただしUIラベルと同様に、英語では「省略」が起こります。

主に表Aに示す3種類のメッセージがあります。

種類 説明
確認メッセージ 図Bの「Do you want to save changes to Untitled?」のようにユーザーの意思を確認するメッセージ。疑問文が普通
指示メッセージ 「Click here to download.」のように、アプリがユーザーに操作指示するメッセージ。命令文が普通
エラー・メッセージ 「Unable to download.」のようにエラーが発生したことをユーザーに知らせる。頻繁に出現し、平叙文が普通

表A(『アプリ翻訳実践入門』p. 112より転載)

ヘルプ/マニュアル

アプリの使用方法をユーザーに説明するドキュメントです。図CはFacebookのウェブ・アプリのヘルプです。

図C(『アプリ翻訳実践入門』p. 112より転載)

操作手順の説明が多く、図Cの例では手順が3ステップで書かれています。英語の場合、操作手順は「命令形」で簡潔に書かれるという特徴もあります。同図では「Click 〜」という命令形が続いています。

まとめ

  • アプリ翻訳で主に扱うドキュメントに「UI」と「ヘルプ/マニュアル」があります。

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