【第20回(最終回)】アプリ翻訳のポイント:用語の統一

※本連載は、弊社刊『アプリ翻訳実践入門』の一部をコンパクトに再編集したものです。

キーワード:用語統一、用語集

用語統一の重要さ

あるアプリに登場するテキストは、そのアプリ内だけで使われるわけでは必ずしもありません。

まず、ボタン名などのUIテキストは、ヘルプやマニュアルといった別のドキュメントから参照されることになります。たとえば「Preference」というボタンが「個人設定」と訳されていたら、ヘルプでもその訳語(用語)を使わなければなりません。

また、アプリは機能追加などでバージョンアップされることがあります。このとき、新バージョンに登場するテキストの翻訳を担当する人は、旧バージョンと同じであるとは限りません。そのため、誰が担当しても同じ訳を当てられるよう、用語を決めておく必要があります。

つまり、ドキュメント間やバージョン間で用語の統一を図ることが重要になるわけです。図Aを参照してください。

図A(『アプリ翻訳実践入門』p. 131より転載)

実際にアプリ関連のテキストを翻訳するときは、この両面での統一に注意を払うようにしましょう。

用語統一に必要な資料

もしヘルプやマニュアルを訳すのであれば、参考資料としてUI テキスト用語集や実際のアプリが欠かせません。また、新バージョンを訳すのであれば、旧バージョンのUI テキスト用語集や翻訳メモリーなどが必要です。

つまり以下のような資料が用語の統一に役立ちます。

  • 対訳のUIテキスト用語集
  • アプリそのもの(ヘルプやマニュアルの翻訳時にUIテキストを確認できる)
  • 翻訳メモリー(過去の翻訳を参照できる)

用語をうまく統一できないと、アプリのローカリゼーションは失敗する可能性があります。

まとめ

  • ボタン名などアプリで使われる用語は、ドキュメント間やバージョン間で統一する必要があります。
  • 用語統一には、対訳用語集、アプリそのもの、翻訳メモリーといった資料が役立ちます。

※ 連載「アプリ翻訳基礎講座」は今回が最終回になります。お読みいただき、ありがとうございました。

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