【第9回】不可能(4)と殺生石

ITエンジニアが芭蕉と学ぶ英語構文

著者:西野 竜太郎(@nishinos

記事一覧へ 第1回へ

登場人物

芭蕉

江戸時代の俳諧師。「おくのほそ道」の旅で、東北と北陸を巡って俳句を詠む。

曽良

芭蕉の弟子。「おくのほそ道」で芭蕉に随行する。

ワタシ

21世紀の英語翻訳者。「おくのほそ道」で芭蕉に同行してIT英語を教える。

これまでのあらすじ

21世紀への時間旅行を企てる松尾芭蕉は、旅行中の費用をプログラマーとして働きながら工面しようとする。しかし「プログラマー35歳定年説」を知ると断念し、代わりに年齢に関係ない英語スキルを「おくのほそ道」の道中で学ぶことにする。

芭蕉は出発前に住居を他人に譲り、旅立つ。江戸から北に向かい、日光東照宮を参詣し、黒羽(現・栃木市大田原市)に滞在した。

不可能(4)と殺生石

芭蕉たちは那須温泉の近くにある「殺生石せっしょうせき」を訪れている。

ワタシ

この岩の近くからは有毒性の火山ガスが出ていて、近づいた虫や小動物が死んでしまうようですね。だから「殺生石」と呼ばれています。

殺生石と言えば「ローゼンメイデン」にも出てきたのう。「痛いですぅ〜」などという口調のドールか。

それは蒼星石そうせいせきですよ!

残念、「痛いですぅ〜」は翠星石すいせいせきじゃ、ガハハハハ。

ワタシ

さて、英語の勉強を始めましょう。

今回も「不可能」の表現で、「too … to」という構文です。まずサンプル英文を確認しましょう。

This file is too large to open.

このファイルは大きすぎて開けません。

Network is too busy to play the video at original quality.

ネットワークが混雑しすぎて、オリジナルの品質でビデオを再生できません。

これを一般的な形にしてみます。

<今回の構文>

[主語] [be動詞] too [形容詞] to [動詞].

[主語] は [形容詞] すぎて [動詞] できません。

この構文は基本的なのでもちろん読めますが、英文を書くときになかなか思い浮かばないんですよね〜。

ワタシ

そうですね。日本語的な発想だと、最初のサンプル英文は「The file cannot be opened because it is too large.」といった英文がすぐに出てくるでしょうね。

基本的でも、使える場面できちんと使えば、表現も豊かになるじゃろうな。

では、試しにその構文で作文してみよう。

I am too old to become a programmer.

私は年を取りすぎていてプログラマーになれない。

これでよろしいか?

ワタシ

はい、結構です。

(プログラムが書けなくても、俳句が書けるじゃないか……)

◆  ◆  ◆

芭蕉たちは黒羽を出るとき、用意してもらった馬に乗って移動した。殺生石に向かう途中、馬を引く馬子まごが芭蕉に俳句を詠んでくれるよう頼む。芭蕉はそれに応えてこう詠んだ。

野を横に 馬きむけよ ほととぎす

(野原でほととぎすの声が聞こえる。馬子よ、馬を横に引き向けてくれ。)

…… 次回に続く

今回の地図

黒羽の雲巌寺うんがんじから、那須温泉の殺生石へ。